2015年5月28日木曜日

光老化の科学

誰でも生まれた時は若い皮膚を持っていますが、
加齢とともに、次第にシミやシワができてきます。
しかしこれは、時の経過が原因なのではなく、
太陽光のもとで時を過ごしたことが原因なのです。
光線のエネルギーを吸収するのはクロモフォアと呼ばれる原子団で、
それぞれが特定の波長のエネルギーを吸収し、
さまざまな反応を起こします。
最も重要なクロモフォアは、
一番光に敏感なパルミチン酸レチノールの形態のビタミンAです。
ビタミンAも光線エネルギーを吸収して分子構造を変えるクロモフォアのひとつで、
ある波長の光子エネルギーを吸収すると、
ビタミンAは活性を失います。
興味深いことに、
このパルミチン酸レチノールを十分に保護できる紫外線防止剤はほとんどありません。
このほかにも、紫外線エネルギーに破壊される分子は数多く存在します。
例えば、DNA, ビタミンC, ビタミンB12などです。


2015年5月21日木曜日

皮膚の老化とビタミンA

20世記初頭に、ビタミンAは発見されました。
ビタミンAは皮膚の健康維持に必要不可欠で、
皮膚の中で非常に複雑な機能を果たします。
ビタミンAは、壊れやすい分子の一つで、
光に当たると壊れます。
空気や水に触れても破壊されます。
皮膚の老化とダメージは、太陽光によって引き起こされます。
このことは、光老化と呼ばれ、
いわゆる老化とは分けて考える必要があります。
例えば、同じ人でも
紫外線に全くあたらない、二の腕の皮膚と
手の甲の皮膚では、
全くその性状が異なることはわかります。
このことは、皮膚の老化において紫外線が
非常に重要な役割を果たしていることの証明です。
この紫外線により、破壊されているのは
ビタミンAであるということが
最近の研究で明らかになってきています。
ビタミンAをいかに効率的に皮膚に取り入れていくかが
スキンケアにおいて重要といえます。



2015年5月14日木曜日

皮膚科学に基づいたスキンケアとは

スキンケアについては、
これまでさまざまな観点から議論されてきました。
特にスキンケアと化粧品については、
情報が氾濫しどうしていいのかわからない場合も多いと思います。
私たちの皮膚は常に太陽光(特に紫外線)にさらされています。
その結果ダメージを受け続けていると言ってもいいでしょう。
そのような変化から守るためには、
「ある特定の重要な成分」を補っていくことが重要と考えられます。
これらの重要な成分は、
私たちの体を太陽光から保護するために皮膚内にもともと存在していますが、
これらは太陽光により破壊されてしまうため、
常に皮膚に補う必要があります。
このことは私たちが太陽光のもとで皮膚をさらしている限り、
生涯変わることはありません。
最近の研究で、
何が皮膚にダメージを与え
ダメージを受けた皮膚が何を必要としているかがよくわかるようになってきました。
複雑な皮膚細胞内の化学反応の過程や、
科学的に有効なスキンケア法について、
すこしずつ、解説していきたいと思います。


2015年5月7日木曜日

緊急対応が必要な皮膚感染症

緊急対応が必要な皮膚感染症として
壊死性筋膜炎というまれな病態があります。
切創、虫刺症、軽微な外傷、熱傷などを契機に発症し、
進行すると四肢切断を余儀なくされ、生命にも関わる
恐ろしい病気です。
下肢によく見られますが、
赤みが生じ、徐々に熱感を伴い、発熱(特に39度台)してきたら注意が必要です。
糖尿病があるとさらに重篤化しやすいとされています。
診断には血液検査が有用ですが、
壊死性筋膜炎を疑う場合、早期にCT等の画像検査が必要ですので、
総合病院との連携が重要です。
みずむしがある方には生じやすいですので
足、脚に違和感を感じ始めたら
お気軽にご相談ください